平成18年度はアレルギー性皮膚炎を自然発症したイヌ15頭の皮膚病変部および非病変部よりトータルRNAを抽出し、CCケモカイン8分子(CCL3、4、19、20、21、24、26および27)の遺伝子発現定量を行った。発現定量はイヌCCケモカインに特異的なプローブおよびプライマーを用いたリアルタイムPCRにより行い、病変部および非病変部間における発現量の差を統計学的(paired test)に評価した。リアルタイムPCRの結果、CCL26はいかなるサンプルにおいても発現は認められなかったが、その他の7分子に関しては、病変部および非病変部における発現を確認した。次に、発現が確認された7分子の病変部および非病変部における発現レベルを統計学的に解析したところ、病変部におけるCCL27/CTACKの発現低下が明らかとなった。ヒトのアレルギー性皮膚炎の病変部ではCCL27/CTACKの発現増強が示されているが、イヌのアレルギー性皮膚炎の病変部では発現低下というヒトとは相反する結果が示された。したがって、イヌのアレルギー性皮膚炎の免疫病態におけるCCL27/CTACKの役割を詳細に解明するために、本分子のリコンビナント蛋白およびモノクローナル抗体の作製をすでに開始した。平成19年度は本分子のイヌCCR10+リンパ球に対する遊走活性の評価と皮膚病変部における主要産生細胞の同定を通して、イヌのアレルギー病態におけるCCL27/CTACKの関与を明らかにする予定である。
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