青森県で自然発症した土佐犬より分離したB.gibsoniを、新鮮イヌ赤血球を用いて、10%イヌ血清加RPMI1640培地にて5%CO_2、5%O_2、37℃の条件下で培養を開始した。7日ごとに継代を行い、200日間以上連続培養を行った後、安定した増殖を示す培養株を確立した。薬剤感受性試験はアルテミシニン(ART)、アトバコン(ATV)、アジスロマイシン(AZM)、クリンダマイシン(CLM)、クロトリマゾール(CLT)、ジミナゼンアセチュレート(DA)、ドキシサイクリン(DXC)、ケトコナゾール(KTC)、メトロニダゾール(MTR)、ミノサイクリン(MNC)、ペンタミジン(PNT)、キナクリン(QNC)を用いて行い、各薬剤添加72時間後の増殖抑制濃度(IC_<50>)を算出した。 ATV(IC_<50>:5.5-6.2×10^1nM、DA(IC_<50>:0.9-4.6×10^2nM、PNT(IC_<50>:1.1-1.5×10^2nM)およびQNC(IC_<50>:1.0-2.1×10^2nMは本培養株に対して高い増殖抑制作用を示した。これと比較してAZM(IC_<50>:2.6-7.0×10^3nM)の増殖抑制作用はやや低くCLT(IC_<50>:0.6-1.1×104^nM)、KTC(IC_<50>:0.7-1.1×10^4nM)、DXC(IC_<50>:3.0-3.6×10^4nM、MNC(IC_<50>:2.9-3.1×10^4nM)およびCLM(IC_<50>:1.0-1.2×10^5nM)はさらに低いことが明らかとなった。ARTおよびMTRは増殖抑制作用を示さなかった(IC_<50>:>1.0×10^6nM)。 本研究では、複数の薬剤が高い増殖抑制効果を有することが明らかとなった。さらに現在、各薬剤添加後の生存原虫を分離し、感受性の変化について検討を行っている。
|