地球温暖化の原因物質である大気中の二酸化炭素削減や、人口爆発に伴うに伴う食料増産問題を解決するため、持続的利用可能な熱帯性植物資源作物の一つであるサゴヤシの産する糖鎖資源の有効利用に関する研究を行った。 本年度は、「サゴヤシ澱粉加工のための物理化学的特性の解析」として「蛍光ラベル化法とDNAシーケンサーを組み合わせたFACE法を用いた澱粉アミロペクチン鎖長分布の解析」及び「顕微微小加熱装置によるリアルタイム昇温結晶崩壊状態の解析」を行った。その結果、M.vienseとM.warburgiiにはあまり違いは認められなかったが、M.saguは前者と比べて短鎖の割合が多い傾向が、成長段階初期のものは短鎖が少ない傾向がみられた。また、DSCで示される糊化開始温度よりも高い温度でデンプン粒の膨潤がみられたが、この傾向はRVAの結果と相関性があることが示唆された。 「サゴヤシリグノセルロース物理化学的特性の解析」に関しては、「溶媒分画による各種構成成分の分取」及び「GC-MS法による各種構成成分の解析」を行い、Coelococcus節はMetrxlon節と比較すると、セルロース含量が高くてリグニン含量が低く、ウロン酸含量が高いことが分かった。 「サゴヤシ澱粉フィルムの加水分解特性解析」については、フィルム製造条件まで確立できたたが、物性測定や化学特性に至っておらず、引き続き19年度も継続して実施することとなった。しかし、19年度実施予定であった「サゴヤシリグノセルロース物理化学的特性の解析」を前倒しして今年から度実施することができたため、当初計画していた予定はすべて来年度中に消化できる見込みである。
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