近い将来に想定される、地球温暖化対策や地球環境の保全・修復を目的とした遺伝子組換え樹木の植栽によって生じると想定される組換え樹木の花粉や種子の飛散による遺伝子攪乱や生態系の破壊といった事案に対する対策手法の一つとして、組換え遺伝子拡散防止技術が必要であると考えられる。本研究では、モデル樹木として遺伝子情報や実験技術等が蓄積・整備されつつあるポプラ(セイヨウハコヤナギ)を研究対象とし、樹木全般に応用可能な花成抑制技術の開発に必要不可欠と考えられる、花成抑制に関わる遺伝子の単離とその発現特性及びポプラやシロイヌナズナの組換え実験系を利用した遺伝子ごとの花成抑制効果の2つの項目について解析することを目的とし、まず、ポプラの芽や花芽など複数の器官・組織からRNAを単離し、逆転写酵素等を利用したPCR法により花成抑制候補遺伝子として、シロイヌナズナの花成抑制因子Flowering locus Cと43〜45%の相同性を持つ遺伝子PnFLC1、PnFLC2、PnFLC3を単離し、塩基配列を決定した。また、単離したこれら遺伝子の花成抑制効果等の機能を同定するために、シロイヌナズナ組換え体を作出した。
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