研究課題
1.アルギニンメチル化によるFOXO1の転写制御機構の解明FOXO1の新規翻訳後修飾として、アルギニンメチル化酵素PRMT1によるアルギニン残基のメチル化を発見した。同定したメチル化部位がAktによるリン酸化基質のコンセンサス配列内に存在したことから、メチル化がリン酸化修飾に与える影響を検討したところ、メチル化によるリン酸化の顕著な阻害が認められた。AktによるFOXO1のリン酸化は、核外移行、ユビキチン化、プロテアソーム依存的な分解を引き起こすことから、各段階でのPRMT1の作用を検証したところ、リン酸化と同様にPRMT1によるFOXO1のメチル化はいずれのステップに対しても抑制的に機能した。最後に酸化ストレス依存的なアポトーシスにおけるPRMT1の役割を検討したところ、PRMT1はFOXO1によるBim遺伝子の転写を活性化することでアポトーシスを正に制御していることが明らかとなった。以上の結果は、ヒストンに見られる翻訳後修飾のクロストークとよく似た機構が、転写因子の機能調節にも重要な役割を果たしていることを示唆するものである。2.二段階精製法によるFOXO1複合体の同定哺乳類細胞におけるFOXO1複合体の同定するため、まずタンデムタグを有するFOXO1の安定発現Hela S3浮遊細胞を樹立した。その後、大量培養を経て核抽出液を調製し、二回の免疫沈降によりFOXO1複合体を精製した。得られたFOXO1複合体をSDS-PAGEで泳動・分離後、質量分析装置にて結合因子を同定した。その結果、これまでの報告から予想される転写関連因子の他に、DNA修復に関わる因子が多数含まれていた。FOXO1は寿命の制御に関わることから、老化と密接に関係するDNA修復機構にFOXO1が直接的に作用するとすれば非常に興味深い。現在、FOXO1がDNA修復に関わる可能性について検証を行っている。
すべて 2007 2006
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