研究課題
昨年度までの研究の結果、ラクトフェリンが骨芽細胞の分化を促進し、骨様組織の形成を促進する機能を持つことが明らかとなった。本年度は、ラクトフェリンを標的細胞に持続的に供給するたあのキャリアとしてI型コラーゲンゲル薄膜が利用可能か検討した。I型コラーゲンゲル薄膜上にウシラクトフェリン溶液を塗布し、低温下で乾燥させることによりコラーゲンゲル薄膜に吸着させた。この薄膜上にMG63ヒト骨肉腫細胞を播種し、デキサメサゾンを培養液に添加することで骨芽細胞様の細胞に分化誘導した。分化誘導開始後2-3週間後にアルカリフォスファターゼ(ALP)活性の測定、OCPC法による細胞外マトリックスへのカルシウム沈着量の測定、ELISA法によるオステオカルシン産生量の測定を行い、MG63細胞の骨芽細胞様細胞への分化の程度を評価した。その結果、ラクトフェリン含有I型コラーゲンゲル薄膜上に播種したMG63細胞は、ラクトフェリンを含まないI型コラーゲンゲル薄膜上に播種したMG63細胞と比較して、骨芽細胞分化に伴うALP活性の上昇が顕著であり、オステオカルシン産生量、細胞外マトリックスへのカルシウム沈着量の増大が認められた。また、カルシウム沈着量はラクトフェリンを最終濃度1μMで培養液に添加した場合とほぼ同程度であった。この結果より、I型コラーゲンゲル薄膜がラクトフェリンのキャリアとして機能し、骨芽細胞分化を促進して骨様組織の形成を促す機能を持つことが明らかとなった。
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Bioscience, Biotechnology, and Biochemistry 72
ページ: 226-230
Journal of Biotechnology 131
ページ: 76-83