研究課題
特別研究促進費
ファイトプラズマは宿主細胞内に生息し細胞壁を持たないことから、その膜タンパク質は宿主との相互作用に重要な役割を果たすと考えられる。そこで、ファイトプラズマ菌体表面の大半を覆っている膜タンパク質である主要抗原膜タンパク質(Amp)の遺伝子を比較的近縁な4種のファイトプラズマ(タマネギ萎黄病ファイトプラズマ、アスター萎黄病ファイトプラズマ、クワ萎縮病ファイトプラズマ、キリてんぐ巣病ファイトプラズマ)よりクローニングし塩基配列を決定して比較することとした。その結果、それらのファイトプラズマの間でかなり(相同性89-98%)の変異が認められた。Amp遺伝子の塩基配列の相同性は,16S rRNA遺伝子はもとより、Amp遺伝子の上流や下流の遺伝子、さらにはORF間のintergenic regionの相同性よりもはるかに低かった。また、Amp遺伝子に認められた変異の大部分はアミノ酸置換を伴う変異であった。従ってAmp遺伝子は多様性が増大する方向に何らかの選択圧がかかっていると推定された。またAmp遺伝子内における多様性について最尤法を用いて解析したところ、2ヵ所の膜貫通領域に比べ、菌体表面に露出していると推定される領域に強く正の選択圧がかかっていることや、タンパク質間の結合に重要なcoiled-coil配列にかかる正の選択圧が弱いことなどが明らかとなった。以上の結果、Ampはファイトプラズマ-宿主の相互作用において非常に重要な役割を担っていると考えられた。
すべて 2007
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Molecular Plant Pathology (in press)