研究課題
特別研究促進費
イネもみ枯細菌病菌Burkholderia glumaeの圃場分離株のoxolinic acid (OA)耐性は、いずれもOAの作用部位であるGyrAタンパク質の83番目のアミノ酸残基(GyrA83)の変異に依存している。B.glumaeのOA耐性獲得とイネ体における生存適応能との関係を明らかにするために、OA感受性株Pg-10のin vitro自発変異株の中から、OA耐性株を選抜した。その結果、Pg-10に対するOAの最小阻止濃度(MIC)は0.5μg/mlであるのに対し、OAのMICが5μg/ml、10μg/ml、20μg/mlおよび50μg/mlとなるOA耐性株が選抜された。分子遺伝学的解析により、これらのin vitro自発変異株のOA耐性は、GyrAタンパク質の81(GyrA81)、82(GyrA82)、83および87番目(GyrA87)のアミノ酸残基の変異によることが明らかとなった。Pg-10のgyrA遺伝子にマーカーエックスチェンジ法によりGyrA81、GyrA82、GyrA83およびGyrA87に対応する塩基に、in vitro自発OA耐性株の変異を導入した組み換え株をそれぞれ作製し、イネに接種した。イネもみ枯細菌病の発病の必須要因である小穂における増殖能が、組み換え株ではPg-10と比較して低下し、イネに発病は認められなかった。OA処理を行うと、GyrA83に変異を有する組み換え株の小穂における増殖能は相補され、イネは激しく発病した。すなわち、B.glumaeのOA耐性株の中で、GyrA83以外に変異を有する株は圃場における生存適応能が低く、淘汰されると考えられた。
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Journal of General Plant Pathology (印刷中)
Applied and Environmental Microbiology 73
ページ: 1114-1119
International Journal of Systematic and Evolutionary Microbiology 56
ページ: 1031-1038