研究概要 |
カルボニルイリドと求双極子剤との不斉1,3-双極付加環化反応を機軸とする生物活性天然物の触媒的不斉合成を検討し、本年度は以下の成果を得た。 (1)分子内の適当な位置にホルミル基を組み込んだα-ジアゾ-β-ケトエステルをイリド前駆体、スチレン誘導体を求双極子剤とする分子間不斉1,3-双極付加環化反応において、Rh_2(S-TCPTTL)_4を触媒として用いると、反応は完璧なエキソ選択性で進行し、最高94%の不斉収率で付加環化生成物が得られることを見出した。また、求双極子剤としてフェニルアセチレン誘導体を用いた場合にも本反応系は適応可能であり、最高95%の不斉収率で付加環化生成物が得られるという知見を得た。現在、本反応の適用盛囲を明らかにするとともに、本法で得られた付加環化生成物から二環性化合物のdescuraininへの変換を検討している。 (2)分子内の適当な位置にインドールを組み込んだα-ジアゾ-β-ケトエステルを調製し、アミドカルボニルイリドとインドールとの分子内不斉1,3-双極付加環化反応を検討したところ、Rh_2(S-TCPTTL)_4を触媒に用いると付加環化生成物が完璧なエンド選択性かつ最高65%の不斉収率で得られることが分かった。現在、本反応の収率、不斉収率の向上を目指すとともに、本法で得られた付加環化生成物から生物活性多環式複素環化合物であるvindolineへの変換を検討している。
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