研究概要 |
平成18年度の検討から、反応基質として5-および4-アルキナール、3,4-および4,5-ジエナールに対して本環化反応が進行し、対応する環状アリルアルコール、ホモアリルアルコールを与えることが明らかとなった。5-アルキナールの環化反応においては、アルキン上の置換基によってその位置選択性が変化し、アルキンの末端炭素上に水素またはアリール基が置換している場合にはエンドオレフィンを有する六員環アリルアルコールを、アルケニル基が置換している場合にはエキソオレフィンを有する五員環アリルアルコールを選択的に与えた。また、4一アルキナールの環化反応は、アルキンの末端炭素上にアリール、アルケニル、アルキニル基が置換している場合においてのみ進行し、エンドオレフィンを有する五員環アリルアルコールを得ることができた。 求電子部位としてはアルデヒドの他にもケトンやエノンが利用でき、また脂肪族2級アミン存在下反応を行うと系中で生成したイミニウムイオンが求電子剤として働き、対応する3級アミンを与えた。また、アルケニルパラジウム中間体の補足剤としては、アリールおよびアルケニルボロン酸を用いることによりsp^2炭素、トリアルキルホウ素を用いることによりsp^3炭素、シランを用いることにより水素原子の導入が可能となっている。なお、パラジウム触媒の配位子としては、モノホスフィンであるトリフェニルホスフィンやトリシクロヘキシルホスフィンがアンチWacker型環化反応に有効であり、ジホスフィンを利用するとカルボパラデーションヘと反応機構が変化するという興味深い知見も得られている。
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