研究概要 |
5-および4-アルキナール、3,4-および4,5-ジエナールに対し、モノホスフィン配位子を有する0価パラジウみ触媒存在下、有機ホウ素試薬をメタノール溶媒中で作用させると、3位置換2-シクロアルケノールまたは3-シクロアルケノールが得られた。また、脂肪族2級アミン存在下、DMF溶媒中で反応を行うと、系中で生成したイミニウムイオンが求電子剤として働き、対応する3級アミンが得られた。そこで、エンド型イミニウムイオンに対して同様の環化反応が進行すれば、生物学的に重要な含窒素ヘテロ環化合物である4位置換1,2,3,6-テトラヒドロピリジンが得られるものと考え、検討を行った。その結果、3-ブチニルアミンまたは2,3-ブタジエニルアミンに対し、0価パラジウム触媒存在下、ホルムアルデヒド、有機ホウ素試薬を作用させると、三成分連結反応が進行し、所望のテトラヒドロピリジンを得ることができた。 なお、本環化反応の開発過程において、触媒として2価パラジウムとジホスフィンの組み合わせを利用すると、カルボパラデーションへと反応機構が変化するという興味深い知見を得ることができた。この触媒系は、オルト位にエステル基を有するフェニルボロン酸と内部アルキンのカップリング反応を促進し、インデノンおよび2-ナフトールを与えることが明らかとなった。また、光学活性ジホスフィン配位子SEGPHOSを用いることによって、5,6-および6,7-ジエナールの不斉環化反応の開発にも成功した。
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