研究課題
本年度は有用な天然化合物の骨格を活かした、核内受容体の転写活性をモジュレートする新しい生理活性化合物を合成するとともに、新規なタンパク質-タンパク質相互作用をハイスループットに評価するアッセイ系の構築を目的とした。具体的には、大腸癌の発生に関わるWntシグナル伝達系の異常亢進を抑える有用新規化合物を探索するための、ハイスループットなアッセイ系を構築した。Wntシグナル関連タンパク質APCの変異などにより蓄積したβ-cateninは核内で転写因子TCFと結合し、標的遺伝子の転写を促進する。このβ-catenin-TCFの結合を阻害する小分子を天然物資源、あるいは天然物基盤合成ライブラリーから探索する。合成ライブラリーの候補化合物としては天然物骨格のフラボノイドに着目し、新規なワンポット反応を見いだした。今後固相での合成に展開する予定である。新規アッセイ法の構築にあたり、まず必要なタンパク質の発現検討を行った。ヒトβ-cateninのTCF結合領域であるアルマジロリピートを含む128〜683aa、分子量約67KDaのタンパク質を、GST融合タンパク質としてコードする大腸菌発現用コンストラクトを作成した。これを用い、ヒトβ-cateninタンパク質を大腸菌より大量に発現させることに成功し、ウエスタンブロットにてアルマジロリピートに対する抗体との結合を確認した。また、ヒトTCF4のβ-catenin結合領域のタンパク質もGSTタンパク質として発現に成功した。β-catenin固定化マイクロプレート作成を行い、蛍光化TCFを作成し、β-catenin-TCF複合体を蛍光プレートリーダーにより検出することに成功した。今後、本アッセイ系を用いて、有用な化合物の探索を行う。
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Bioconjugate Chemistry (in press)
J. Steroid Biochem. Mol. Biol. (in press)
Tetrahedron Asymmetry (in press)
Anticancer Research 26
ページ: 2621-2632