研究概要 |
研究代表者はジルコノセンジクロリドとn・ブチルリチウムより発生したジルコノセン-ブテン錯体とオルトアクリル酸トリエチルエステルとを作用させることにより、ジルコニウムの配位子交換およびアルコキシル基のβ脱離を経てγ,γ-ジアルコキシアリルジルコニウム種1が生成することを既に報告している。このγ,γ-ジアルコキシアリルジルコニウム種1との反応基質について、その一般性を拡大すべく検討を行なった。まずイミン類との反応について引き続き検討を行なった。添加剤として1価の銅塩を用いて反応を行なうと、1のγ位でイミンに付加したgem・ジアルコキシホモアリルアミンが生成することを見出し既に報告している。そこで、ルイス酸共存下におけるジルコニウム種1とイミンとの反応について検討を行なったところ、イミンとしてベンジリデンアニリンを用いた場合にgem・ジアルコキシシクロプロピルアミン誘導体が得られる事が明らかとなった。これは、ジルコニウム種1に含まれるケテンアセタール部位が付加をし、その後分子内環化した生成物と考えられた。すなわちジルコニウム種1のβ位でまずイミンへの付加が起こり、引き続き系内に存在するアルキルジルコニウム部位が分子内ののオキソカルベニウムイオン求核付加し得られたと考えた。現在、引き続きその他の基質について反応の検討を行なっている。 また、フルオロアルケニルクロム種の合成とそのアルデヒド類との反応についても検討を行ない、フルオロアルケニルクロム種の発生とアルデヒド類への付加によるフルオロアリルアルコール誘導体の生成を明らかとした。 上記の研究内容について、第30回フッ素化学討論会にて発表を行なった。また、日本薬学会第127年会にて発表予定である。また、γ,γ-ジアルコキシアリルジルコニウム種1に関する総合論文を有機合成化学協会誌にて発表した。
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