研究概要 |
研究代表者はジルコノセンジクロリドとn-ブチルリチウムとの反応により生成するジルコノセン-ブテン錯体にオルトアクリル酸トリエチルエステルとを作用させることにより、ジルコニウムの配位子交換およびアルコキシル基のβ脱離を経てγ,γ-ジアルコキシアリルジルコニウム種が生成することを既に報告している。このγ,γ-ジアルコキシアリルジルコニウム種との反応基質について、その一般性を拡大すべく検討を行なった。ルイス酸存在下、この有機ジルコニウム錯体とアクリル酸アミド類との反応ではgem-ジアルコキシシクロブタン誘導体が得られるが、プロピン酸アミド類との反応を検討した。TMSOTf存在下、γ,γ-ジアルコキシアリルジルコニウム種とプロピン酸ジベンジルアミドとの反応は進行し、ジルコニウム種のケテンアセタール部位がマイケル付加した後、中間体に生成するN,O-アセタール部位が反応し、gem-ジアルコキシシクロブテン誘導体が得られる事を明らかとした。 また、フルオロアルケニルクロム種の合成とそのアルデヒド類との反応についても検討を行なった。ブロモフルオロアルケンに塩化クロム(II)存在下アルデヒドをフルオロアルケニルクロム種の発生とアルデヒド類への付加によるフルオロアリルアルコール誘導体の生成を既に報告している。この反応に用いるアルデヒド類としてキラルな分子鎖を有するアルデヒドを用いて反応を行ない、含フッ素ベスタチンアナログ合成を指向し検討を行なったところ、良好な収率で対応する含フッ素ベスタチンアナログ前駆体の合成に成功した。 上記の研究内容について、第31回フッ素化学討論会および15TH European Symposium on Fluorine Chemistryにて発表を行なった。
|