研究概要 |
これまでに,蛍光ラベル化したカリックスアレーンライブラリーを構築し,オリゴペプチドに応答する化学センサーを見出している.この蛍光ラベル化したカリックスアレーンをスライドガラス基盤に固定化し,ゲストの結合によって基盤上でもスペクトル変化が確認できれば,DNAマイクロアレイのように多種類同時分析が可能となる.今回,基盤に固定化するために新たに設計したカリックスアレーンの合成法とゲストの結合による蛍光スペクトルの変化について検討した.まず,カリックス[4]アレーンの向かい合う2つのフェノール性水酸基をメチル化し,残りの水酸基のペプチドを導入するリンカーとなるアミノメチル酢酸アミドユニットを導入した.続いて,リンカーのBoc基を除去した後,Fmoc法により,チロシン,スレオニン,グルタミン酸を結合させた.最後にFmoc基を除去し,蛍光剤とであるダンシル基,対応する消光剤であるダブシル基を導入して,ホストとなる蛍光ラベル化したカリックスアレーンの合成を完了した.続いて,合成したホストに結合するゲストを探索するため,3375種類からなる10種類のリガンドライブラリーとバインディングアッセイを行った.その結果,10種類のうち3種類のライブラリーとのバインディングアッセイから合成したホストと結合するいくつかのゲスト分子を見出すことができた.見出したゲスト分子のうち,3種類を別途合成し,ホストと混合してホストの蛍光スペクトルが変化するか調べた.しかし,ホストの蛍光スペクトルは大きく変化しなかった.現在,他のゲスト分子の合成,ホストの再設計を検討している
|