本研究の目的である、RAGEのAGE結合ドメインとAGEリガンドからなる複合体の立体構造解析及び、新規RAGEリガンドを見出すためのバーチャルスクリーニングに用いるため、平成18年度は以下に示す研究をおこなった。終末糖化産物(AGE)レセプター(RAGE)のスプライシングバリアント1種及び12種類のAGE結合ドメインの部位特異的アミノ酸変異体に関して大腸菌による大量発現系を確立した。スプライシングバリアントの安定同位体標識及び結晶化スクリーニングをおこなった。またAGEに関しては、BSA及びリジン等塩基性アミノ酸及びその類縁体とグルコース、アルデヒドとの反応で生成させる系を確立した他、これまでにRAGEリガンド候補として報告されている幾つかの低分子化合物についてその合成系を確立した。RAGEアフィニティーカラムとHPLCを用いたAGE精製系を作成した。表面プラズモンセンサー(Biacore)および、ELISE法を用いた各種RAGEとAGE等各種リガンドとの相互作用:解析を行い、RAGE-リガンド複合体の親和性を定量することに成功した。この結果、RAGEのリガンド結合残基を同定することができた。また、RAGEリガンド結合ドメインの相互作用部位についてはNMRを用いた化学シフト摂動法による解析もおこなった。これらの結果より、RAGEアンタゴニストのターゲット部位を見出すことができた。RAGEアンタゴニスト候補分子のバーチャルスクリーニングを行うため、スクリーニングデータベースを作成した。
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