メタロ-β-ラクタマーゼ(MBL)であるIMP、 VIMは、活性中心にZn(II)イオンを含み、感染症治療で最も汎用されているβ-ラクタム剤を加水分解することで、細菌感染症治療を困難にさせる酵素である。しかしMBL阻害剤は未だ臨床に無く、その阻害剤開発が急がれている。 本研究は、毒性が低いと考えられるペプチドを基盤としたIMPおよびVIMのリード化合物を網羅的に探索することで、迅速かつ定量的に阻害剤開発を行うことが目的である。 平成19年度は、昨年度に続きMBLであるVIM-2の大量発現系の構築を行った。MBLであるIMP-1の大量発現系は確立している。VIM-2はクローニングされた際にベクターに存在していたownプロモータで発現させているため、酵素発現量が多くなく、非常に酵素精製に手間がかかる。しかし、VIM-2遺伝子を大量発現系ベクターに組み込むとうまく発現しないことがわかった。これはVIM-2のフォールディングに問題があると考えられた。そこで効率よくVIM-2を大量に精製できるシステムを構築するために、アフィニティーカラムを利用した精製系やコールドショックによる発現系の構築を行った。現在、精製条件を検討中である。 またファージディスプレイは、ペプチド直鎖型とペプチド湾曲型を考案している。ファージディスプレイ法を確実に行うために、ルシフェラーゼをファージのg3pと融合させファージ表面に提示させ、固相にルシフェラーゼ抗体を結合させ、ルシフェラーゼ提示型ファージを選択して抽出できる環境を整えた。
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