研究課題
STAP-2は自然免疫系・獲得免疫系シグナル間クロストークの中核を担う、非常に多機能な新規分子である。T細胞は感染後期に炎症局所に遊走・集積し、獲得免疫の担い手となる。血中を循環しているT細胞は、血管内皮細胞上を転がるように移動(rolling)しているが、炎症により産生されたケモカインなどの走化性因子により局所にリクルートされる。さらにインテグリンなど接着分子の活性化を介して血管内皮細胞を通過し、組織へ浸潤する。この組織浸潤過程において、インテグリンを介したフィブロネクチン(FN)などの細胞外マトリックスとの接着が重要となる。本申請研究では、T細胞の接着能へのSTAP-2の関与、および接着・遊走に関与するチロシンキナーゼFAKとSTAP-2の機能的な相互作用について解析を行った。STAP-2KOおよびWTマウス脾臓細胞をPMAにより活性化し、FNへの接着を比較した。STAP-2KOにおいて細胞接着の顕著な亢進が観察され、さらに脾臓由来T細胞においても接着の亢進が認められた。インテグリンシグナル下流の分子をウェスタンブロットにより解析するとFAKのタンパク質量がSTAP-2KO T細胞で増加していた。続いて、ヒト白血病細胞株Jurkat細胞のSTAP-2安定発現株を用い、FNへの接着能を解析した。β1インテグリン刺激後、コントロール株に比べSTAP-2株でFN接着の顕著な減少が観察された。またFAKのタンパク質量はSTAP-2株で顕著に減少していた。そして、このSTAP-2によるFAKタンパク量の減少メカニズムは、E3リガーゼCblをSTAP-2がリクルートし、FAKのユビキチン化を亢進することによることを示した。以上よりSTAP-2/CblによるFAKの分解促進という新たな細胞接着抑制メカニズムを解明した。
すべて 2006
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