研究概要 |
1.PC12D細胞を用いて記憶・学習に重要な細胞内シグナル伝達であるERK/CREBシグナル伝達活性の検討をin vitroにおいて行った。 PC12D細胞を用いてNobiletin誘導体のCRE依存的転写活性を測定したところ、Nobiletin誘導体G002,G005およびG010にNobiletinよりも強い転写活性を見い出した。さらに、PC12D細胞においてNobiletin誘導体の神経突起伸展作用を検討したところ、G010はNobiletinよりも2倍程度その作用が上昇していた。また,Nobiletin誘導体のERK活性化に対する効果について検討したところ、G010はNobiletinよりも強いERK活性化作用を示した。以上の結果より、Nobiletin誘導体G010はNobiletinよりも強力なERK/CREBシグナル伝達活性を有する事が示唆された。 2・In vitroの系で強い活性を示す誘導体についてNMDA受容体遮断薬MKr801言琴発性記憶・学習障害モデル動物を用いてin vivoにおける予防・治療効果の評価を行った。 恐怖条件付け試験においてG010(50mg/kg, i.p.)をMK-801処置の10分前に単回投与する事によりMK-801により誘発される記憶障害を60%程度改善した。一方、Nobiletkm(50mg/kg, i.p.)の単回投与による改善効果は20%程度であった。Y字型迷路においてG010(50mg/kg, i.p.)をMK-801処置の10分前に単回投与することによりMK-801により誘発される記憶障害を有意に改善した。Nobiletin(50mg/kg, i.p.)の単回投与では有意な改善効果は得られなかった。一方、Nobilekm(10 or 50 mg/kg,,i.p.)およびG010(10 or 50mg/kg, i.p.)を一週間連続投与した場合ではNobiletinおよびG010の投与により同程度.(50-70%程度)の改善効果が見られた。以上の結果より、Nobiletin誘導体G010は単回投与に,おいてもMK-801誘発性記憶・学習障害にたいして改善効果を有する事が示された。
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