研究概要 |
申請者はこれまでに新規のRab5-GEFであるRIN2、RIN3についての解析を進めてきたが、最近RINファミリーがRab22とも相互作用し、RINファミリーがRab5サブファミリーと協調して初期エンドサイトーシスを制御する可能性を見出した。本研究では、RIN2、RIN3を中心にRab5ファミリーの活性化機構とエンドサイトーシスの制御機構の解明を目的として、以下の知見を得た。 1)モノクローナル抗体の作製--in vitroの結合実験や免疫染色において内在のRab22やRab31を検出するために、抗Rab22、および抗Rab31モノクローナル抗体を作製し、各種スクリーニングから、ウェスタンブロッティングおよび免疫染色に適用可能なクローンを得た。 2)生化学的特性の解析--RINファミリーがRab22やRab31に対してGEF活性を有するかを、Rab22、31の[^<35>S]GTPγSの結合能を指標に検討した。その結果、RINファミリー間でRab22に対するGEF活性に差があることが明らかとなった。またRINファミリーとの結合に対するRab5サブファミリーのヌクレオチドフォーム依存性を、in vitroの結合実験により見い出した。 3)Rab22,Rab31相互作用因子の探索--Rab5サブファミリーの各々が独自の機能を発揮するために、各々のRabメンバーが固有のエフェクター分子をもつ可能性が考えられる。そこでYeast two hybrid系を用いて、新規Rab22相互作用因子Xを同定した。さらに培養細胞における免疫沈降実験を行ったところXがRab5とは結合せず、Rab22特異的に相互作用することを見出した。 以上の結果より、RINファミリーの各メンバーがRab5,Rab22,Rab31を個別に活性調節することでエンドサイトーシスを巧妙に制御している可能性が示された。
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