アディポネクチンによるIL-12 P40遺伝子発現調節機構について解析を行った。IL-12 P40遺伝子の5'-flanking regionのデリーションコンストラクトを用いたレポーターアッセイを行った結果、アディポネクチン刺激によるIL-12 p40転写促進を担っている領域は-369 bpから-630 bpに存在していることを明らかにした。本領域には転写因子結合部位としてC/EBPやAP-1などが存在していたため、これらの関与を検討する目的で変異コンストラクトを作製し、同様にプロモーター活性を測定した。その結果、C/EBP部位の変異体はプロモーター活性に影響を及ぼさなかった。一方で、AP-1部位の変異体は、アディポネクチン刺激によるプロモーター活性を顕著に抑制した。次に、主要なMAP kinase阻害剤を用いてアディポネクチンシグナル伝達に関与する分子を検討した結果、JNK(c-jun N-terminal kinase)阻害剤によりIL-12 p40遺伝子発現上昇作用が顕著に抑制されること、また、アディポネクチン刺激12時間後にJNKが活性化することを見出した。以上の結果から、アディポネクチン刺激によるIL-12 P40遺伝子発現上昇はJNK、AP-1の活性化を介した反応であると考えられる。IL-12 p40はIL-12 p35、あるいはIL-23 p19とヘテロダイマーを形成し、それぞれ生物活生を示すことが知られている。そこで、IL-12 p35、IL-23 p19の発現変動を検討した。その結果、アディポネクチン刺激によりIL-23 p19遺伝子発現が顕著に増加することを見出した。このから、アディポネクチンはマクロファージに作用するとIL-23産生を増強し、細胞生免疫を賦活化させることで生体防御において重要な役割を担っている可能性が示唆された。
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