1.マウス組織におけるCYP2R1の発現および加齢変化の確認 ビタミンD活性化の第一ステップである肝臓での25位水酸化に関与するCYP2R1は、肝臓のみならず精巣にも強く発現していることを確認した。CYP2R1は雌性生殖器である卵巣にはほとんど発現しておらず、雄性特異的な機能を有すると考えられた。肝臓におけるCYP2R1 mRNA発現量の加齢変化には性差が認められ、雌では雄より早期に最大値を示した。また、肝臓における25位水酸化活性の加齢変化はCYP2R1 mRNAの発現変化と一致した。一方、精巣におけるCYP2R1 mRNA発現量は7週齢で最大値を示し、精巣組織においても25位水酸化活性が検出された。さらに、マウスの血漿中性ホルモン濃度を測定したところ、testosterone、estradiol濃度はいずれも雌では雄より早期に最大値を示し、肝臓におけるCYP2R1 mRNA発現量の加齢変化と一致した。 2.精巣由来細胞におけるビタミンD代謝酵素の発現および酵素活性 マウス精巣由来細胞(TM3、TM4)においてCYP2R1の発現を確認した。両細胞において他のビタミンD代謝酵素であるCYP27A1、CYP27B1およびCYP24A1はわずかしか発現していなかった。TM3およびTM4細胞にvitamin D_3を添加して培養したところ、25位水酸化体である25-hydroxyvitamin D_3の生成が確認できた。 3.精巣細胞におけるCYP2R1 mRNA発現量に及ぼす各種ホルモンの影響 TM3、TM4細胞および肝臓由来HepG2細胞において、testosterone、estradiolおよび成長ホルモンの添加によりCYP2R1 mRNAの発現増加および25位水酸化活性の上昇が認められた。以上より、肝臓および精巣のCYP2R1は性ホルモンおよび成長ホルモンにより発現が誘導されることを明らかにした。
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