研究課題
ビタミンD-25位水酸化酵素CYP2R1がマウス精巣に強く発現していることを踏まえ、今年度はマウス精巣由来細胞の機能に及ぼすビタミンD化合物の影響について検討した。また、一般にヒトでは女性に比べ男性の方が血漿中25位水酸化ビタミンD[25(OH)D]濃度は高いとされているが、その妥当性についても文書によるインフォームドコンセントを得た検体を用いて検証した。1. ビタミンD化合物のマウス精巣由来細胞の細胞機能に及ぼす影響の検討マウス精巣ライディッヒ細胞由来TM3を用いて、テストステロン産生能に及ぼすビタミンD化合物の影響を黄体ホルモン存在下、非存在下で検討した。その結果、ビタミンD化合物添加により、テストステロン産生能が亢進し、その作用は黄体ホルモン存在下で増強することが明らかとなった。また、マウス精巣セルトリ細胞由来TM4細胞を用いて、トランスフェリン産生能に及ぼすビタミンD化合物の影響を卵胞刺激ホルモン存在下、非存在下で検討した。その結果、卵胞刺激ホルモン存在下、非存在下共に、ビタミンD化合物添加による用量依存的なトランスフェリン産生能の変化は認められなかった。さらに、両細胞におけるcAMP産生能に及ぼすビタミンD化合物の影響についても検討したが、用量依存的なcAMP産生能の変化は認められなかった。2. ヒト血漿中25位水酸化ビタミンD濃度の性差の検証沖縄、兵庫、札幌の各地域における男女の血漿中25(OH)D_3およびD_3(未変化体)濃度を高感度LC-MS/MS法を用いて測定した。その結果、女性に比べ男性の方が25(OH)D_3濃度は高い傾向を示したが、その基質で未変化体であるD_3濃度も高いことが判明した。従って、女性に比べ男性の血漿中25(OH)D_3濃度が高いのは、25位水酸化能の差異によるものではなく、紫外線被照射量等の影響によるD_3濃度の差異が影響している可能性が高いと判断された。
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Osteoporos Int (in press)
ビタミン 82
ページ: 612-614