研究課題
本年度は、終止コドンを欠失した異常なメッセンジャーRNA(mRNA)であるノンストップmRNAの哺乳動物細胞における細胞内運命について調べた。その結果、ノンストップmRNAの翻訳が強く抑制されていることを見出した。さらに、翻訳反応のいずれの段階でノンストップmRNAの翻訳反応が阻害されているかを解析した。シュークロースグラジエント超遠心法によるポリソーム分布の解析の結果、翻訳開始反応は起きていることが示唆された。この知見をさらに確認するため、キャップ非依存性の翻訳開始ができるmRNAを構築し、キャップ非依存性の翻訳開始系で本ストップmRNAの翻訳抑制の有無を調べた。その結果、キャップ非依存性の翻訳開始条件下でもノンストップmRNAの翻訳抑制は見られた。これらの知見から、翻訳開始反応後にノンストップmRNAの翻訳が抑制されていることを示している。次に、ノンストップmRNAの翻訳の伸長反応が阻害されているか否かについてin vitro run-off assay系で調べた結果、翻訳伸長反応の阻害が検出され、伸長反応の阻害が翻訳抑制の原因であると分かった。さらに、ノンストップmRNAのポリA尾部にリボソームが停滞していることを見出した。この結果は、ポリAでのリボソームの停滞が翻訳抑制の引き金となっていることを示唆している。
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Mol. Cell. Biol. 26
ページ: 3194