研究概要 |
本研究の目的は、6-ヒドロキシドーパミンや1-methyl-4-phenyl-1,2,3,6-tetrahydropyridine(MPTP)など汎用されているドーパミン神経毒の作用について、ガン細胞、初代培養細胞および幼若ラット脳を用いて、in vitroおよびin vivoでの解析を同時に行い、その細胞障害メカニズムを明らかにすることにある。今年度は、6-ヒドロキシドーパミン(以下6-OHDA)による神経細胞死メカニズムについて詳細を検討した。ドーパミンの酸化修飾物である6-OHDAは、生体内に存在するカテコールアミン作動性の神経毒である。本研究では、6-OHDAから自動酸化により生成する過酸化水素およびp-キノン量を定量し、6-OHDA誘導性PC12細胞死における寄与について解析した。その結果、100μM 6-OHDAから速やかに50μM過酸化水素および100μMp-キノンが生成することがわかった。6-OHDA誘導性神経細胞死における過酸化水素およびp-キノンおよびの寄与についてさらに解析したところ、前者がミトコンドリア依存的にカスパーゼを活性化するのに対し、後者がミトコンドリア非依存的にアポトーシスを誘導することを明らかにした(Free Radical Biology and Medicine,42,675-685,2007)。現在、p-キノンにより誘導される神経細胞死メカニズムを解析中で、初代培養系および幼若ラットでの解析を鋭意検討中である。
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