サリドマイドおよびその代謝物の示す細胞分化誘導促進活性の解析およびそれに関わる諸要因を現象的・分子作用レベル的に解析、ならびに同生物作用を指標としたサリドマイドの構造展開研究を遂行した。その結果、 (1)サリドマイド代謝物の網羅的合成およびそのヒト白血病細胞に対する細胞分化誘導促進活性評価ならびに解析、 (2)サリドマイド代謝物の腫瘍壊死因子(TNF)-α産生阻害活性評価による、同活性に関わる代謝活性体の同定と構造活性相関解析、 (3)サリドマイド代謝物のチューブリン重合に及ぼす効果の解析、 (4)サリドマイド代謝物をリード化合物とした新規且つ強力なチューブリン重合阻害剤、5HPP-33、のチューブリン上の結合部位の検討およびヒト骨髄腫細胞に対する増殖阻害ならびにアポトーシス誘導活性の確認およびその解析、 (5)サリドマイドの活性代謝物をリードとした構造展開研究による新規活性化合物群(細胞分化誘導促進剤、チューブリン重合阻害剤、血管新生阻害剤など)の創製、 (6)サリドマイドをリードとした新規シクロオキシゲナーゼ(COX)阻害剤の創製およびそれらのヒト臍帯静脈内皮細胞に対する血管新生阻害活性の確認ならびに解析、次いで活性化合物が血管新生誘導因子におよぼす影響の解析、 などを遂行し、サリドマイドの有効性・有用性に対する細胞生物学的・分子作用機構的な理解を進歩させることが出来た。また各種構造展開研究の遂行によりサリドマイド派生化合物群という新たな医薬リードカテゴリーが発信できた。
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