研究課題
ヌクレオシド類縁体による、RNAウイルス(中でも、SARSコロナウイルスとC型肝炎ウイルス)を標的とした抗ウイルス剤の創薬研究において、下記に示す知見を得た。1、抗SARSコロナウイルス薬の研究:数十種のヌクレオシド類縁体を化学合成し、プラークリダクションアッセイ法、及びイールドリダクションアッセイ法を用いてそれらの抗SARSコロナウイルス活性を測定した結果、6-クロロプリンを核酸塩基に持つ2種の類縁体に活性が見られた。これらは、既存の抗SARSコロナウイルス剤であるリバビリンやミゾリビンと同程度、あるいはそれ以上の活性を示した。また、その内の1つの類縁体は、抗ウイルス活性に必要とされている5'-水酸基が安息香酸とのエステルになっており、化学構造上の観点からも興味深い知見となっている。2、抗C型肝炎ウイルス(HCV)薬の研究:抗SARS薬の研究で得られた知見(6-クロロプリン、5'-安息香酸エステル)を鍵部分構造とし、各種類縁体の化学合成、及びサブゲノムレプリコン細胞を用いた抗HCV活性の測定を行った結果、2'-デオキシリボフラノシル構造を持つ化合物に強いHCV-ウイルスゲノム増殖抑制作用が見られた。続いて、プリンの6位塩素原子、並びに5'-エステル部の安息香酸部位を他の置換基で置き換え、構造活性相関の検討を行ったところ、幾つかの類縁体でHCV-ウイルスゲノム増殖抑制作用が観測されたが、活性の大幅な向上は見られなかった。
すべて 2007 2006
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Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters 17(in press)
ページ: (doi: 10. 1016/j. bmcl. 20070226)
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