研究概要 |
中国東北地区絶滅危惧種薬用植物の化学的研究の一環として,中国黒竜江省松峰山自然保護区にて刺五加Acanthopanax senticosusを採取し,その葉の化学成分を行い、膵リパーゼ阻害活性を有する3種の新規成分を含む計15種のトリテルペノイドサポニン成分を単離し、構造決定した。今回、エゾウコギ果実の70%エタノール抽出エキスについても,同様な操作で単離精製を行い,1種の新規成分を含む計16種のトリテルペノイドサポニン成分を単離した。それら化合物の構造をNMR,MSなど各種スペクトル解析および化学反応により決定した。新規化合物の構造は3-O-β-D-glucuronopyranosylechinocystic acid 28-O-β-D-glucopyranosideであり,acanthopanaxoside Eと命名した。既知化合物のうち,10種の成分がAcanthopanax属より初めて単離した成分である。単離した化合物について,膵リパーゼ阻害活性を測定したところ,silphioside F, copteroside B, hederagenin 3-O-β-D-glucuronopyranoside 6'-O-methyl esterとgypsogenin 3-O-β-D-glucuronopyranosideは阻害活性を示し,IC_50値はそれぞれ0.22,0.25,0.26 and 0.29mMでした。この結果より,化合物の28位の遊離カルボン酸官能基が阻害活性に重要であることを示唆した。
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