研究概要 |
中国東北地区絶滅危惧種薬用植物の化学的研究の一環として, 中国黒竜江省松峰山自然保護区にて刺五加Acanthopanax senticosusを採取し, その葉および果実の化学成分を行い、膵リパーゼ阻害活性を有する新規トリテルペノイドサポニン成分を単離し、構造決定した。今回、エゾウコギ茎のメタノール抽出エキスについても, 同様な操作で単離精製を行い, 1種の新規成分を含む計16種の成分を単離した。それら化合物の構造をNMR, MSなど各種スペクトル解析および化学反応により決定した。新規化合物の構造は2, 6-dimethoxy-4-[(1E)-3, 3-dimethoxy-1-propenyl]phenyl(β-D-glucopyranosideと決定した。既知化合物のうち, 5種の成分が当植物より初めて単離した成分である。単離した化合物について, α-グルコシダーゼ阻害活性を測定したところ, sinapaldehyde 4-O-β-D-glucopyranosideとlycoperodine-1はスクラーゼに対し阻害活性を示し, IC_<50>値はそれぞれ2.0と1.9mg/mLであった。sinapaldehyde 4-O-β-D-glucopyranosideとrel-5-(1R, 5S-dimethyl-3R, 4R, 8S-trihydroxy-7-oxa-6-oxobicyclo[3, 2, 1] oct-8-yl)-3-methyl-2Z, 4E-pentadienoicacidはマルターゼに対し阻害活性を示し, IC_<50>値はそれぞれ2.0と1.6mg/mLであった。
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