研究課題
酸化亜鉛ナノ粒子のアジュバント作用について検討した。抗原である卵白アルブミンを、酸化亜鉛ナノ粒子とともに腹腔内投与されたマウスの血清中の抗卵白アルブミンIgG量は、卵白アルブミンのみを投与されたマウスと比較して増加していた。このような酸化亜鉛ナノ粒子のアジュバント作用は、脾臓細胞の卵白アルブミン依存性増殖反応、また、Th1反応の指標となる抗卵白アルブミンIgG2a、Th2反応の指標となるIgG1およびIgEの産生に対しても認められた。さらにこの酸化亜鉛ナノ粒子のアジュバント作用は、マイクロメートル級の半径を持つ酸化亜鉛粒子のアジュバント作用よりも強く、同じ物質でも粒子径により、そのアジュバント作用の強さが異なることが示唆された。今後は、脾臓細胞のサイトカイン産生に対する酸化亜鉛ナノ粒子のアジュバント作用について解析する予定である。また、Th1/Th2/Th3免疫反応と関係が深い肥満細胞の活性化に対する酸化亜鉛ナノ粒子の作用についても検討した。その結果、酸化亜鉛ナノ粒子は、IgEと抗原に依存した肥満細胞株の脱顆粒反応を抑制した。また、酸化亜鉛ナノ粒子は、細胞内カルシウム濃度の上昇および細胞内情報伝達分子であるPI3Kの活性化には影響を及ぼさずに、脱顆粒反応を抑制していることが示唆された。今後は、酸化亜鉛ナノ粒子の脱顆粒抑制作用機序についてさらに詳しく解析する予定である。
すべて 2006
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