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2007 年度 実績報告書

成体脊髄の正常時および損傷後のグリア細胞新生メカニズムの解析

研究課題

研究課題/領域番号 18790142
研究機関京都大学

研究代表者

北田 容章  京都大学, 医学研究科, 助教 (80324614)

キーワード神経解剖学 / 神経幹細胞 / 神経前駆細胞 / 細胞分化 / 脊髄損傷 / 上衣細胞 / アストロサイト / Notchシグナリング
研究概要

本実験の目的は、脊髄に存在する分裂細胞である上衣細胞・オリゴデンドロサイト前駆細胞に着目し、その正常および損傷脊髄での動態を解析する事で、脊髄損傷におけるグリオーシスの由来細胞を特定する事、および正常脊髄でのグリア細胞のターンオーバーを証明する事、にある。平成19年度は特に上衣細胞について注目し、研究を行った。上衣細胞は、脊髄において中心管と呼ばれる脳脊髄液の通過する細い管裏打ちする形で、多列上皮様に存在する。平成18年度までに、1.上衣細胞はこの多列上皮様の構造の中で分裂し更に次第に外側へ移動する事、2.更に脊髄実質へと移動する事、3.そしてその一部がアストロサイトへと分化する事を示した。平成19年度では、上皮細胞の分裂能、移動能、アストロサイトへの分化能のメカニズムを解析した。上衣細胞はNotchという細胞分化に関わる因子を恒常的に発現している。このNotchという分子に注目し、Notchの構成的活性型であるNICD (Notch細胞内ドメイン)を強制発現させるアデノウィルスを作成し、上衣細胞へ導入した。すると2週間後の観察では、上衣細胞の分裂、脊髄実質への移動、特に後索路付近への移動、そしてアストロサイトへの分化が見られた。すなわちNotch遺伝子の強制発現により、上衣細胞の本来の機能である分裂能、移動能、分化能が示された訳である。アストロサイトへの分化にはSTAT3のリン酸化が重要である事が知られているが、アストロサイトのマーカーであるGFAPを発現する上衣細胞はリン酸化STAT3の核内での発現が見られた。これらの事から、上衣細胞における分裂能、移動能、アストロサイトへの分化能は、そのいずれもNotchシグナリングが関与している事、そしてアストロサイトへの分化についてはSTAT3のリン酸化と核内への局在が重要であろう事が示唆された。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2008 2007

すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (2件)

  • [雑誌論文] Induction system of neural and muscle lineage cells from bone marrow stromal cells; a new strategy for tissue reconstruction in desenerative diseases2008

    • 著者名/発表者名
      Kitada M and Dezawa M
    • 雑誌名

      Histol Histopathol (in press)

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 神経の再生2008

    • 著者名/発表者名
      北田容章
    • 雑誌名

      日本臨床 66

      ページ: 921-925

  • [雑誌論文] 神経・筋疾患における細胞移植治療;骨髄間葉系細胞を用いた自己細胞移植への可能性2008

    • 著者名/発表者名
      北田容章
    • 雑誌名

      Clinical Neuroscience 26

      ページ: 210-213

  • [雑誌論文] Peripheral nerve regeneration by the in vitro differentiated-human bone marrow stromal cells with Schwann cell property2007

    • 著者名/発表者名
      Shimizu S
    • 雑誌名

      Biochem Biophys Res Commun 359

      ページ: 915-920

    • 査読あり
  • [学会発表] 成体脊髄に存在する新たなクリア前駆細胞の探索2008

    • 著者名/発表者名
      北田容章
    • 学会等名
      第113回日本解剖学会総会・全国学術集会
    • 発表場所
      由布
    • 年月日
      2008-03-29
  • [学会発表] 正常成体脊髄に存在するグリア前駆細胞の探索2007

    • 著者名/発表者名
      北田容章
    • 学会等名
      第30回日本神経科学大会、第50回日本神経化学会大会、第17回日本神経回路学会大会合同大会
    • 発表場所
      横浜
    • 年月日
      2007-09-10

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公開日: 2010-02-04   更新日: 2016-04-21  

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