研究概要 |
鰓後体C細胞の発生・分化に必要な遺伝子を探索した.今年度は,C細胞がいつ本来の機能を持つ成熟した内分泌細胞に分化するのかを調べた.未分化のC細胞は神経細胞由来の細胞を含むため,神経細胞特異的遺伝子を発現している.これまでの研究で,その中の1つであるSCG10は孵卵6日(E6)より発現していることがin situ hybridizationにより確認されていた.そこで,in situ hybridizationによりさらに孵卵期のSCG10遺伝子の発現を調べた.その結果,E6より発現しているSCG10遺伝子は,E12で鰓後体全体に発現が見られ,その発現はE14まで続くことが分かった.その後,徐々に発現が減り,孵化1日令(D1)では発現が殆ど見られなくなった.さらにくわしく遺伝子の発現量の変化を調べるため,リアルタイムPCRを行った.リアルタイムPCRでは成熟したC細胞で発現しているカルシトニン遺伝子や,C細胞の発生・分化に関与していると考えられている遺伝子achaete-scute homologue mRNA(CASH1)の発現量も調べた.E12とD1の鰓後体のmRNAを使用して比較したところ,カルシトニン遺伝子はD1で約4倍発現量が増えた.一方,SCG10は1/20に減少し,CASH1は1/100に減少していた.これらの結果から,E12は未だ分化途中であり,D1で殆ど内分泌細胞に分化が完了すると考えた.この結果を基に,E12とD1の鰓後体を用いてDNAマイクロアレイを行った.現在,特に細胞分化に関係する遺伝子に注目して解析を行っている.
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