研究概要 |
C細胞はカルシトニンという, 血液中のカルシウム濃度を下げる作用を持つホルモンを産生している内分泌細胞である. 哺乳動物ではC細胞は甲状腺内に傍濾胞細胞として存在する. 一方, 哺乳類以外の脊椎動物では鯉後体として独立した器官を形成する. 本年度, DNAマイクロアレイにより得られた解析結果を基に, 鯉後体において細胞分化に関係する遺伝子で艀卵期に発現量が多いものと, 艀卵後に発現量が多いもののsRNA発現ベクターを作製した. しかし, siRNA使用のノックダウン実験でははっきりとした結果は明らかにならなかった. そのため, ポリクローナル抗体を使用した発現解析を行った. また, Mash1ノックアウトマウスにおけるC細胞の発生は, 胎生後期において徐々に退縮し, 出産までにC細胞は欠損する. そこで, 胎生後期の野生型マウスとMashlノックアウトマウスの甲状腺を用いて, それぞれの遺伝子の発現パターンを調べた.烏類C細胞と哺乳類C細胞の発現パターンを照らし合わせることで, さらにC細胞の発生に必要な遺伝子を探ることを試みた. DNAマイクロアレイにより野生型マウスとMash1ノックアウトマウスの遺伝子の発現パターンを調べた. 野生型マウス甲状腺をコントロールとして, Masblノックアウトマウス甲状腺で発現量の減少している遺伝子を検索した. その結果, C細胞で発現しているホルモンであるカルシトニン, クロモグラニンおよびソマトスタチン遺伝子などの発現がみられないこと共に, 神経系の細胞の形成に必要な遺伝子であるneumna血が減少していることが分かった. neutonahnはneuroD遺伝子の下流標的遺伝子であり, neuroD遺伝子がC細胞の発生に関わっていることが示唆された.
|