| 研究概要 |
これまでに同定した減数分裂特異的な新規遺伝子群の中から、酵母の減数分裂に必須の機能を持つことが知られるHop1と共通のDNA結合ドメイン(HORMAドメイン)を持つ2つの機能未知遺伝子(マウスHORMAD1,HORMAD2)に特に注目し解析を行った。両分子に特異的な抗体をそれぞれ複数種類作製することに成功し様々な解析を行うことが可能となった。減数分裂細胞における両者の細胞内局在を、マウス精巣切片や、精母細胞染色体標本の蛍光免疫染色により観察した。HORMAD1は精母細胞の非対合部分の染色体上に特異的に局在することが明らかになった。この局在様式は酵母Hop1と共通と考えられ、マウスHORMAD1は酵母Hop1の機能的ホモログであると考えられた。一方HORMAD2はパキテン期の精母細胞の性染色体上に特異的に局在しており、哺乳類雄の減数分裂時に見られる特殊なヘテロクロマチン構造として知られるXYボディの形成や機能に関与する新規分子である可能性が示唆された。またウエスタンブロットによる解析の結果、HORMAD1,HORMAD2共に、リン酸化修飾を受けることが明らかになった。次年度はさらにリン酸化部位やリン酸化のタイミング等を詳細に解析しその機能的意義の解明を目指す。また現在理研CDB変異マウス開発チームとの共同研究でこれらの遺伝子のノックアウトマウスの作製に着手しており、これらの分子の減数分裂における機能を明らかにすることができると考えている。
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