精子に発現するPC-TP-Lの結合部位であるL型Ca^<2+>チャネルCa_v1.2のC末は、subtype特有の電位依存性不活性化の速度に重要であることをBHK6細胞の発現系でH18年度に明らかにした。しかし、H19年度にCa_v1.2とCa_v1.3及びキメラチャネルの解析によって、不活性化キネティクスを3つの成分(速い・遅い・定常成分)に分けて解析すると、その比率はC末端より膜貫通部位が強く関与し、回復のキネティクスも膜貫通部位が制御することが明らかになった。またCa_v1.3はCa_v1.2に比較して回復のプロセスが速く進行することが明らかになった。Ca_v1.3はCa_v1.2に比較してより低電位で活性化と不活性化を起こすため、反復する脱分極下ではより強い不活性化の蓄積が予想されたが、逆にCa_v1.2より高いチャネル活性を維持することが示された。PC-TP-LとCa_v1.2及びCa_v1.3が発現する心房筋の洞房結節を模した活動電位をBHK6細胞に発現したCa_v1.2及びCa_v1.3に加えると、Ca_v1.3チャネルが一活動電位あたりの活性化時間とカルシウム流入量がより長く、大きくなる傾向が示された。コンピューターシミュレーション法(Hodgkin-Huxley Model)により、連続した脱分極下におけるチャネル活性は不活性化速度と回復速度の平衡状態であることが示され、かつCa_v1.2とCa_v1.3のチャネル活性の平衡状態を再現した。PC-TP-L存在下でのチャネル活性については現在検討中である。
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