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2006 年度 実績報告書

皮膚バリア機能に果たすTRPV4チャネルの生理的役割の解明

研究課題

研究課題/領域番号 18790167
研究機関大学共同利用機関法人自然科学研究機構(共通施設)

研究代表者

曽我部 隆彰  大学共同利用機関法人自然科学研究機構(岡崎共通研究施設), 岡崎統合バイオサイエンスセンター, 特別協力研究員 (70419894)

キーワードTRPV4 / ケラチノサイト / バリア機能 / カルシウム / βカテニン / アクチン / 温度
研究概要

TRPV4チャネルが皮膚バリア機能に果たす役割について、TRPV4欠損マウスを用いた個体レベル、および初代培養ケラチノサイトを用いたin vitroレベルで検討し、以下の結果を得た。
TRPV4欠損マウスと野生型マウスで皮膚バリア機能を比較し、TRPV4欠損マウスでは角質層を障害した際の染色液の浸透が明らかに多く、さらに可溶性小分子がタイトジャンクション障壁を超えて拡散することが示された。初代培養ケラチノサイトを高Ca^<2+>により分化誘導すると、アクチン骨格の編成と重層化がTRPV4欠損ケラチノサイトで遅延し、分化が未熟であることを見いだした。トランスウェル上でケラチノサイトを分化誘導し、細胞間の分子透過性を検討したところ、TRPV4欠損ケラチノサイトでは有意にデキストランの透過量が増加した。このときのケラチノサイトの垂直切片を電子顕微鏡で観察したところ、野性型では細胞間のバリア機能を担うアドヘレンスジャンクションとタイトジャンクション、およびバリア機能を持たないデスモソームが観察されたが、TRPV4欠損ケラチノサイトではデスモソームのみが多く観察された。細胞外Ca^<2+>上昇にともなったケラチノサイト内Ca^<2+>濃度の変化を測定したところ、33℃という温度条件下において野生型ケラチノサイトの細胞内Ca^<2+>濃度がTRPV4欠損ケラチノサイトに比較して有意に高く保たれていることが分かった。アクチン骨格を破壊する薬剤を加えた状態で同様の測定を行うと、野生型では有意な細胞内Ca^<2+>濃度の低下が起きたが、TRPV4欠損型では変化が見られなかった。
以上の結果から、TRPV4は生理的な体表温度で常に活性化しながら細胞内Ca^<2+>濃度を上昇させ、βカテニン、アクチンフィラメント、およびEカドヘリンとの複合体形成を促進し、Eカドヘリン依存的な細胞間接着の成熟を経てバリア機能を発揮すると思われる。

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公開日: 2008-05-08   更新日: 2016-04-21  

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