遺伝子改変マウスの解析 粥状動脈硬化症モデルマウスであるApo Eノックアウトマウス[Apo E(-/-)マウス]とL-PGDSノックアウトマウス[L-PGDS(-/-)マウス]を掛け合わせ、Apo E(-/-)L-PGDS(-/-)マウスを作製した。Apo E(-/-)マウス、Apo E(-/-)L-PGDS(-/-)マウスを普通食および高脂肪食で飼育し(普通食モデル-9ヶ月齢にて解剖、高脂肪食モデル-2ヶ月齢から高脂肪食を開始し、3ヶ月間投与後、5ヶ月齢にて解剖)、それぞれの遺伝子改変マウスにおいて血圧、脈拍、体重を1ヶ月毎にモニタリングしていき、解剖時に500・1程度下大静脈から採血した。その後、左心室よりKrebs液で全身を灌流後、大動脈弁および大動脈起始部-腹部大動脈分岐部を摘出した。 普通食、高脂肪食負荷群ともに解剖時の血圧、脈拍、体重ともに、Apo E(-/-)マウス、Apo E(-/-)L-PGDS(-/-)マウスで差が見られなかった。血中の脂質、血糖値、インスリン、アディポネクチン、レプチンも明らかな差を認めなかった。大動脈弁の動脈硬化巣形成面積比率はApo E(-/-)L-PGDS(-/-)マウスでApo E(-/-)マウスに比べ、有意に増加していた。また、大動脈のスダンIV染色(脂肪染色)では両群ともに大動脈弓部を中心に動脈壁への脂肪沈着を認めたが、定量化して比較検討したところ、Apo E(-/-)L-PGDS(-/-)マウスではApo E(-/-)マウスに比べ動脈硬化巣形成面積が増加していた。現在、動脈硬化巣におけるマクロファージ、Tリンパ球の浸潤の程度を検討しているところである。
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