雄性C57BL/6J野生株マウスとmPGES-1欠損マウスに対し、通常食(食餌中のNaCl濃度0.6-0. 8% (w/w))、あるいは高塩分食(同11. 9%(w/w))を摂取させ、テールカフを用いて全身血圧の変化を測定したところ、拡張期血圧は野生株マウスとmPGES-1欠損マウスで差は認めなかったが、収縮期血圧はmPGES-1欠損マウスで有意な低下を認めた。 また、通常食を摂取させた25-30 gの雄性C57BL/6J野生株マウスとmPGES-1欠損マウスに対しアンギオテンシッエI(AngII)を皮下持続投与(10 0r 30μg/day/body)し、同様に全身血圧を測定したところ、野生株マウスにAngII 30μg/day/bodyを投与して認められた収縮期血圧の有意な上昇がmPGES-1欠損マウスでは全く認められなかった。そこでAngII投与開始後6日目に野生株マウスから摘出した腎臓を肉眼的に皮質部と髄質部を分離し、それぞれの組織片より全mRNAを抽出し、RT-PCR、リアルタイムPCR(SYB^R Green)法を用い、COX-1、COX-2、mPGES-1、mPGES-2、cPGES、PGIS、TXSのmRNA量を評価したところ、皮質では、COX-2、mPGES-1、mPGES-2、cPGESに加えPGISもAngII用量依存的に増加した。 これらの結果から、血圧上昇に対する防御機能としてのプロスタグランジン合成過程において腎皮質でのPGE2合成に加えPGI2合成が重要な役割を果たしていることが示唆された。
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