1 エタノール脳内局所注入モデルによる末梢性ベンゾジアゼピン受容体(PBR)のグリア細胞局在 エタノールをラット線条体に局所注入することにより組織損傷を誘発し、損傷領域で過剰発現するPBRの細胞局在について、オートラジオグラフィー法および免疫組織化学染色により検証を行った。PBRリガンドDAA1106を用い受容体結合量を測定したところ損傷3日後から結合が増加しはじめ、7日後最大となり、結合の増加は3月後も確認された。またアストロサイトおよびミクログリアの細胞数をカウントしたところ、PBR結合はミクログリア細胞数と有意な相関が見られた。また、蛍光二重染色によりPBRと各グリア細胞と共染色したところ、ミクログリア内のPBRは3月後まで持続的に発現しているのに対し、アストロサイト内のPBRは5-7日に発現したのち、14日以降速やかに消失した。これらの結果からPBRはグリア細胞の増殖と深く関わっており、グリア細胞機能を探る上で重要なマーカーであることが明らかとなった。 2 PBR作動薬Ro5-4864の神経保護作用の確認 カイニン酸神経損傷モデルおよび銅キレーターによる脱髄モデルを対象にPBRリガンドの防御作用の有無について確認をおこなったものの、いずれのリガンドの処置によっても効果を確認することができなかった。現在用量について再検討をおこなっている。 3 PBR欠損マウスの作成 PBRの欠損は致死であるため、Cre-LoxPを用いたPBRのコンディショナル欠損マウスを作成している。ターゲティングベクターを作成し、5つの組み換えES細胞のクローンを作成した。このクローンを480個injectionしたところ8匹のキメラマウスの作成に成功した。しかしながらいずれのキメラマウスもgermlineにのってこなかったため、electoroporation段階からやり直しをおこなっている。
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