研究概要 |
グリセロリン脂質であるホスファチジルイノシトールのリン酸化代謝産物であるホスホイノシタイド(PIs)は、形質膜や細胞内オルガネラの脂質二重膜構成因子として膜の構造を規定するのみならず、脂質代謝・分解酵素により脂質性シグナル分子へと変換され、細胞内シグナル伝達においても重要な役割を果たしている。本研究ではまだ解析の進んでいないPI(3,4)P2の生理機能、特に血球細胞における機能に着目した解析を行うことを目的としている。具体的には、PI(3,4)P2代謝酵素の全身性の欠損マウスは早期胎生致死であったことから、Cre-Lox Pシステムを利用した条件付欠損マウス(floxマウス)を利用する。 本年度はfloxマウスの作製に成功した。129J strain由来マウスES細胞のゲノムライブラリーから、酵素活性中心近辺のcDNAをプローブとしたプラークハイブリダイゼーション法により、ゲノムクローンを単離した。得られたゲノム断片を用いて、酵素活性中心のエクソンの両側にlox P配列を挿入したターゲティングベクターを構築し、ES細胞での相同組み換え体を単離した。このクローンをC57BL/6マウス由来胚盤胞にインジェクトしてキメラマウスを得、C57BL/6マウスとの戻し交配により、floxマウスを作製した。現在、T細胞、B細胞、顆粒球特異的にCreリコンビナーゼを発現するトランスジェニックマウスとの交配を開始している。
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