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脂肪細胞は、生体内においてエネルギーの貯蔵庫としての役割とともに、液性分子を分泌して体内の様々な細胞に影響を及ぼす内分泌機能をもつ。本研究計画の目的は、脂肪細胞の分化過程における細胞周期の制御機構と機能発現について分子レベルで明らかにすることである。
前年度、脂肪細胞分化の初期において機能する転写因子であるC/EBP βを負に制御する因子としてTRB2を明らかにした。本年度、TRB2と相同性を示すTRBファミリー分子の脂肪細胞分化における機能について検討し、TRB1も脂肪細胞分化に対して抑制的に機能することを見出した。TRB1の作用点を解析した結果、TRB1は、TRB2と同様に、脂肪細胞分化の初期においてC/EBP βのタンパク質分解を促進することが明らかになった。さらに、TRB1やTRB2の作用機序を解明するために、TRBファミリー分子の周辺因子の探索を行い、TRB1とTRB2の両者に結合する因子を同定した。現在、これらの因子が、脂肪細胞分化において、TRBファミリーとどのような関係にあるか検討中である。また、脂肪細胞の分化過程の初期の制御に関して、新たな知見としてサイトカインであるOSMが分化抑制作用をもっことを明らかにした。TRBファミリーは、分化初期の細胞増殖に作用するが、OSMは、細胞増殖には影響を与えないことから作用点は異なると考えられる。今後、脂肪細胞の機能発現におけるOSMの作用機序を明らかにすることが重要である。
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