研究概要 |
本研究は、繊毛上皮細胞における繊毛形成および繊毛形成過程で起こる中心体の同時多発的な複製に注目し、繊毛形成過程における遺伝子発現変化を網羅的に解析する事で、繊毛形成および中心体複製の制御機構を解析することを目的としている.我々は、centriolar satellitesと呼ばれる中心体周辺に存在する構造物が、哺乳類細胞に普遍的に存在する非膜系オルガネラである事を発見し、centriolar satellitesの特異的構成蛋白としてPCM-1蛋白を同定した。さらに、このPCM-1を含むオルガネラが、繊毛形成過程における中心体の同時多発的複製に先立って細胞質に大量に出現する事を示してきた。今回の研究では、これまでにマウス気管上皮細胞のprimary cultureにおいてin vitroで繊毛形成を誘導する系を確立し、PCM-1, γ-tubulin, ODF2, pericentrin, centrin, ninein, tektin, dyneinなどの既知の中心体関連蛋白質および繊毛構成蛋白質の繊毛上皮形成の過程における発現変化、局在変化について詳細な解析を行った。平成18年度は、in vitroで繊毛形成を誘導した時の繊毛上皮における遺伝子発現の変化をmicroarrayを用いて網羅的に解析する事で、繊毛形成および中心体複製の制御に関わる因子の探索を行った。繊毛上皮の発生過程における種々のタイミングで特徴的な遺伝子発現パターンを示す遺伝子を複数単離し、解析を始めている.現在までに、中心体とcentriolar satellitesの双方に局在する新規蛋白を1つと、繊毛の先端に局在する新規蛋白1つを同定している。
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