研究課題
本研究の目的は、formin相同蛋白質Fhosによる微小管-アクチン両細胞骨格の動的制御機構の解明である。Fhosは、分子のほぼ中央にポリプロリンの繰返し構造を持つFH(formin homology)1ドメイン、及びそのC末側に広く保存されたFH2ドメインを持ち、このFH1-FH2領域でアクチンの核化・重合能を有している。Fhosのアクチン重合活性は、N末領域とC末に存在するDAD(dia autoinhibitory domain)との自己分子内結合により普段は抑制されている。すわなち、C末端欠失により活性化型となり著明なアクチンストレスファイバー形成を誘導するが、野生型全長では自己阻害作用のためにストレスファイバー形成能がない。本年度は、この活性化機構の解明に重点的に取り組んできた。この自己抑制的な自己分子内結合を、精製蛋白質を用いたin vitroの系で再現し、その結合様式を各種変異体を用いて詳細に検討した。その結果、この自己分子内結合に重要なDADのアミノ酸残基を決定するに至った。さらに、培養細胞の強制発現系を用いたin vivoでのアクチン線維形成能でもこのアミノ酸置換したFhos1は全長で、著明なストレスファイバー形成を誘導した。以上、Fhosの自己抑制的分子内結合の詳細を明らかにしたが、このことは、Fhosの自己分子内結合解除による活性化のメカニズム解明に必須であると同時に、今後、Fhosによる細胞骨格の動的制御機構解明に向けて、大きな手がかりとなると期待される。また、細胞内での微小管-アクチン細胞骨格制御のキー分子として注目されるformin相同蛋白質ファミリー全体の制御機構の理解にも貢献するものであろう。
すべて 2007 2006
すべて 雑誌論文 (8件)
Biochem Biophys Res Commun. 352(2)
ページ: 560-565
EMBO J. 26(4)
ページ: 1176-1186
Methods Enzymol. 406
ページ: 456-468
J. Biol. Chem. 281
ページ: 3660-3668
Biochem. J. 396
ページ: 183-192
Antioxid. Redox Signal. 8
ページ: 1523-1532
J. Biol. Chem 81
ページ: 21857-21868
FEBS J 273
ページ: 3663-3677