研究概要 |
転写因子NF-κBの活性制御機構を解析するために、NF-κBのサブユニットの一つp65(Rel A)N末をbaitにしてyeast two hybridスクリーニングを行った。そのうち、複数クローンが独立に得られた分子(AKIP1,FKBP4)について、相互作用の確認と機能解析を行った。まず、AKIP1については、in vitro、in vivoでp65と結合する事を確認し、ルシフェラーゼアッセイを用いた機能解析の結果から、AKIP1はNF-κBの転写活性を正に制御する事が明らかになった。しかしながら、昨年の11月にGaoたちにより本分子がp65と結合しNF-κB活性を負に制御すると報告されたため、現在、我々の結果と異なる点について検討を行っている。他方、FKBP4については、p65とin vivoで結合する事と、本分子がNF-κBの転写活性に必須の分子である知見が得られつつあり、現在さらに検討を行っている。 また、新たなNF-κB阻害剤の探索と新規IKKβ阻害剤であるACHPの白血病細胞に対する効果を検討た。まず、新規NF-κB阻害剤として、香木に含まれるマグノロールがIκBの分解抑制を介さずに、NFBの核移行を阻害し抗NF-κB活性を持つことを明らかにした。他方、ACHPについては、白血病細胞にて見られる恒常的なNF-κB活性化を阻害し、細胞をアポトーシスに導くことを明らかにした。NF-κの恒常的な活性化が見られる悪性腫瘍においてNF-κB阻害剤の治療的有効性を示す結果と考えられ、後、我々が見いだしたNF-κB阻害剤の治療効果についても検討していく予定である。
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