1.個体レベルにおいて、神経芽腫誘導に対するMKの関与の検討 前年度にMK^<-/->マウスにおいて、MYCNヘミ接合体マウスの神経芽腫発症率が低下する傾向を見い出した。今年度は更に個体数を増やした結果、有意な差を持って発症率が低下し、更には増殖速度も低下していることが明らかとなった。このことは、MKが神経芽腫の発生と進展の両方に関与している可能性を強く示唆している。また、神経芽腫が発生する時期と考えられる2週齢のMYCNヘミ接合体マウスから、原発組織である上腸間膜神経節を摘出する手技を確立した。その上腸間膜神経節からRNAを抽出して各遺伝子の発現を検討したところ、MKとその受容体群は、MYCNヘミ接合体マウスの上腸間膜神経節において発現が誘導されていることがわかった。上腸間膜神経節の一部分に局在するがん細胞がそれらを発現しているものと考えられる。 2.分子レベルでのMYCNとMKの発現の検討 培養細胞にMYCNを発現させると、MKプロモーターを組み込んだレポーターの発現がわずかではあるが誘導され、神経芽腫細胞株IMR-32を用いたクロマチン免疫沈降アッセイではMKのプロモーター領域にN-mycタンパク質が結合していることが明らかとなった。つまり転写因子であるMYCNがMidkineの発現を直接誘導している可能性が強く示唆される。 3.神経芽腫のモデルとしてのMYCN Tgブタの作成 農業生物資源研究所において、引き続き核移植を行って頂いている。一方、核移植に用いるクローンによってTgの表現型(がんが発生するかどうか)が異なる可能性が高いので、更に異なる数クローンを樹立した。
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