研究概要 |
うつ病は、統合失調症と並んで、主要な精神疾患の1つである。感情障害の予防には、気分安定薬であるリチウムが有効であるといわれている。GSK-3βは、リチウムの標的因子と考えられており、GSK-3βやその基質が双極性感情障害に関与している可能性が示唆される。また、GSK-3βによる蛋白質のリン酸化は、細胞死やアルツハイマー病などの神経変性疾患、或いは統合失調症、さらには、うつ病とも密接に関係する概日リズム等、様々な経路に関わっていると考えられる。 概日時計とうつ病との関係を明らかにするために、うつ病モデル動物である学習性無力(learned helplessness, LH)ラットを作製し、その行動リズムを解析した結果、LHラットはコントロールラットに比べて短周期になり、24時間に同調されることを発見した。さらに、IV-ROMSによる「細胞モデル系」は個体の行動リズムと対応していることより、LHラットにおいても、個体行動リズムと同様にLHラット由来の線維芽細胞の概日リズム周期が変化しているかどうか概日リズムのin vitroモニター系(in vitro rhythm monitoring system, IV-ROMS)で検討したところ、LHラット由来の線維芽細胞はコントロールに比べて短周期リズムを示した。また、抗うつ作用のあるリチウムにより、LHラットの行動周期が回復すること及び、LHラット由来の線維芽細胞においてもリズムの周期が長くなることを確認した。
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