マイクロサテライトマーカーによるゲノムワイド相関解析で同定した11箇所の摂食障害(拒食症)感受性候補領域から、各領域内に含まれる遺伝子の機能・発現パターンなどを考慮し、脳神経系機能を持つ既知遺伝子が含まれる4領域について先行的にSNPタイピング・相関解析を実施した。解析対象領域は、神経細胞接着関連分子をコードする遺伝子、神経伝達物質放出制御分子をコードする遺伝子、神経細胞膜貫通分子をコードする遺伝子、あるいは脳関連遺伝子クラスターを含む4つの領域で、摂食障害患者456例(AN331例とBN125例)とコントロール872例をSNPタイピングに用いた。4領域で合計204SNPsをタイピングし、各領域について連鎖不平衡解析、Expectation-Maximization法を用いたハプロタイプ推定、ハプロタイプを考慮したケース・コントロール相関解析などを行った。その結果、2領域について摂食障害(拒食症)感受性(Permutation P-value<0.05)を示す遺伝子(群)あるいはハプロタイプブロックを同定した。感受性SNPは、AN群あるいはその下位分類であるAN制限型(AN restricting type)との関連を示したが、BNとの関連は示さなかった。感受性SNPの一つが、遺伝子の5'UTR領域は位置することから、SNP機能解析構築の一環として、レポーターアッセイ系を導入し、そのようなプロモーター領域内(あるいは近傍)SNPの遺伝子発現量における影響を検討する体制を整えた。 11箇所の候補領域のうち、合計で8領域についてSNP相関解析を行う予定であり、SNPタイピングを進めている。
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