研究概要 |
活性型肝星細胞(HSC)は,増殖能の元進や細胞外マトリックスの過剰発現を示し,肝線維症の発症を来す.最近,angiotensin ll(Ang ll)が肝線維症の発症に深く関与していることが示されているが,HSCにおける詳細な分子機構については明らかになっていない. 一方,Ang llのAT 1 receptorへの結合,a disintegrin and metalloproteinase(ADAM)の活性化,epidermal growth factor receptor(EGFR)リガンドの細胞膜からの分離、EGFRの活性化が他臓器疾患の発症に大きく関わっていることが示された.そこで我々は,活性化ヒトHSCにおいても,Ang ll-ADAM-EGFRのクロストークが生じていることが明らかになった。 1.Ang ll(10^<-6>,10^<-7>,10^<-8>,10^<-9>M)を添加し,3分後のEGFRのリン酸化を検討すると、濃度依存性の反応を認めた。 2.Ang ll(10^<-7>M)を添加し,0〜30分でのEGFRのリン酸化を検討すると、添加後1分から反応を認めた。 3.2と同様にAng llを添加し,ERK1/2のリン酸化について経時的変化を検討すると,3分後から変化を認めた。 4.EGFR阻害剤であるAG1478,AT1レセプター阻害剤であるolmesartan、 ADAM阻害剤である 5.現在は,クロストークに関連するADAMの特定のため,関連が予測されるADAMについてのmiRRNA iを有すレンチウイルスベクターを作成し,transfectionによりEGFRのリン酸化が変化するか検討中である。
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