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2007 年度 実績報告書

Ras/ERK制御因子Spred/Sproutyファミリーの生理機能と癌への寄与

研究課題

研究課題/領域番号 18790273
研究機関国立医薬品食品衛生研究所

研究代表者

加藤 玲子  国立医薬品食品衛生研究所, 研究員 (00333469)

キーワードVEGF / チロシンキナーゼ / ERK / 血管 / リンパ管 / ノックアウトマウス / 負の制御 / 脂肪細胞
研究概要

Ras-Raf-ERK経路の正および負の制御因子は多数知られているが、我々のグループが発見した
Sprouty/Spredファミリーもそのひとつである。我々はSpred1、Spred2それぞれの単独欠損マウスを作製し、頭蓋の形成異常や造血系の亢進が認められるが、ともに出生、生殖は可能であることを報告した。今回Spred1/Spred2両ホモ欠損(DKO)胎仔を作製したところ、著明な出血、浮腫を認め、胎生12.5〜15.5日に100%致死であった。出血は主に頸部、腎臓周囲を中心にみられ、リンパ管あるいは血管の異常が予想された。そこでリンパ管内皮細胞マーカーであるLYVE-1および血管内皮細胞マーカーであるPECAM-1/CD31のwhole mountの免疫染色を行なった。その結果、血管はほぼ正常であるが、拡張した不整な管腔はLYVE-1陽性であり、拡張した管腔はリンパ管であると考えられた。またリンパ管の数自体も増加していた。驚いたことに、正常な胎仔では見られないLYVE-1、CD31両陽性の管腔がSpred1/Spred2 DKO胎仔の頸部において認められた。さらに生化学的な機能解析の結果より、SpredはVEGF-C/VEGFR-3シグナルの生理的な負の制御因子として機能しており、リンパ管発生、特に静脈からの適切な分離に必須の分子であると報告した。またSpred1に関してベルギー、フランス、アメリカとの国際共同研究によって神経繊維腫(NF)1型患者で変異を認めた。カフェオレ斑を持つが、NF1遺伝子に変異を認めない家族性優性遺伝のNF1様患者、5家系について第15番染色体上のSPRED1遺伝子に変異が発見された。ほとんどはナンセンス変異によるC末側欠失変異である。SPRED1に変異を持つ患者は、カフェオレ斑、腋窩の雀卵斑、ヌーナン症候群様顔貌(眼間開離・眼瞼下垂)、巨頭症、注意欠陥障害・学習障害を示した。またこれらの表現型はSpred1欠損マウスの表現型ともよく一致した。SpredがRas/ERK経路の抑制因子であることが遺伝学的にも証明された。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2007

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件)

  • [雑誌論文] Germline loss-of-function mutations in SPRED1 cause a neurofibromatosis 1-like phenotype.2007

    • 著者名/発表者名
      Brems H, Chmara M, Kato R, Yoshimura A, Legius E., et. al.
    • 雑誌名

      Nature Genet. 39

      ページ: 1120-6

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Spreds are essential for embryonic lymphangiogenesis by regulating vascular endothelial growth factor receptor 3 signaling.2007

    • 著者名/発表者名
      Taniguchi K, Kohno R, Ayada T. Kato R, Yoshimura A, et. al.
    • 雑誌名

      Mol Cell Biol. 27

      ページ: 4541-50

    • 査読あり

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公開日: 2010-02-04   更新日: 2016-04-21  

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