研究課題
p53がウイルス感染を抑制するメカニズムの解明を行った。p53の生物学的機能は、N末端側の第一転写活性化ドメイン(1-42)、第二転写活性化ドメイン(43-63)とセリンのリン酸化が良く知られている。そこで、p53のN末端側の2つの転写活性化ドメイン、それぞれないしは両方を削除した遺伝子(Δ1-42、Δ1-63、Δ43-63)、46番目のセリン残基をアラニンに置換した遺伝子を発現ベクターに挿入したものを種々の培養細胞株に導入し、タンパクの発現をウェスタンブロット法にて確認した。次いで、上記遺伝子を導入した細胞に、DNAウイルス(HSV-1)、RNAウイルス(VSV、EMCV)を感染させた後、上記ウイルスに感染した細胞の増殖能および、細胞内でのウイルスの増幅能を解析した。p53の野生型ならびにΔ1-42遺伝子を導入した細胞では、ウイルス感染により誘導される細胞死がほとんど認められなかった。また、細胞内でのウイルスの増幅の抑制は、遺伝子レベルならびにタンパク質レベルで認められた。それ以外の変異型p53遺伝子を導入した細胞では、コントロール細胞とほぼ同様の結果であった。また、p53の野生型ならびにΔ1-42遺伝子を導入した細胞で認められたウイルス増幅の抑制は、ウイルスゲノムの抑制をともなっていた。p53により誘導されるウイルス増幅の抑制は、ウイルスの核酸の種類に関係なく認められ、p53の機能ドメインとしては、第二転写活性化ドメインとセリン46番のリン酸化が重要であることが示された。
すべて 2007 2006
すべて 雑誌論文 (5件)
Gene Therapy 14・4
ページ: 357-365
Cancer Letters 245・1-2
ページ: 134-143
Clinical and Experimental Immunology 146・2
ページ: 330-338
Gene Therapy 13・11
ページ: 906-916
Osteoarthritis Cartilage 14・6
ページ: 545-553